教育情報 第2回:読解力は思考力・判断力・表現力(記述力)につながる
リリース日:2020年3月30日
第2回:読解力は思考力・判断力・表現力(記述力)につながる
2020年度(2021年1月実施)から実施される「大学入学共通テスト」で予定されていた国語・数学の記述式問題の導入は延期となったが、今後も日本の教育が記述式問題で問われる思考力・判断力・表現力(記述力)の育成・評価を重視することには変わりはない。
国語の記述式問題では、自分の意見を述べるのではなく、示された資料などの中から必要な部分を抜き出し、文字数などの条件に合わせて文章をまとめることが求められる。「要約する」という読解力を評価するのが記述式問題ともいえる。さらに、自分の書いた文章と、解答の文章が同義文であることを確認する必要がある。
そこでは2つの文章を「照合する」という読解力も必要となる。
読解力は記述力・表現力につながる
記述式問題には読解力が必須となり、この読解力を高めることが、記述式問題に対応する力を伸ばすことにつながるのだ。
文章を記述するには、まず文章や資料を正しく「読み取り」、言葉や考えをまとめる思考力が必要となる。
また、共通テストの問題のように「要約する」力が求められる文章には、読解力が必要となる。
問題文や添えられた資料を正しく読み取れなければ、要約することもできないからだ。
さらに、文章を読み取り記述するためには、語彙力や文法事項を含む基本的な知識、それを裏付ける経験なども必要になってくる。
新テストの記述式問題で受験生に求められるのは、「伝えようとする内容を、誰に対しても齟齬なく伝えることのできる表現力」である。
そのため、受験生の思考力・判断力・表現力を評価することが記述式問題の狙いといえる。
新学習指導要領が求める読解力の育成
新学習指導要領にも、読解力の育成に向けて一歩踏み込んだ内容が明記された。
新学習要領において国語は、「正確に理解し、適切に表現する資質・能力を育成する教科」であることを示すとともに、
①知識及び技能
②思考力、判断力、表現力等
③学びに向かう力、人間性等
の3つの柱が示された。
また「日常生活における人との関わりの中で伝え合う力を高め、思考や創造力を養う」という目標も掲げられている。
国語はコミュニケーション力を養うベースとなる教科である。
さらに新学習指導要領には、「言語が持つ良さ」や「言語文化」を学ぶことも盛り込まれたほか、興味を持って主体的に読書をすることも意識されている。小学生で古典を扱うのも、この流れによるものだ。
2020年度から実施される新しい学習指導要領では、小学校の国語に「情報の扱い方に関する事項」という項目が新設された。
文章から読み取った内容(情報)をどう把握し、どう処理するのかについて具体的な指針を示した。
新学習指導要領が求める「情報の扱い方」とは?
文章を「読む」ことと「読み取ること」は異なる。
例えば新学習指導要領の「情報の扱い方」では、辞書や辞典の使い方を身につけることが盛り込まれている。
読み書きができることはもちろん、その語句の意味や成り立ちを自ら調べ、語彙力を身につけていくことを目的とするものである。
また、小学3年生では、次のような文章を読み取るためのカギとなる言葉について学習する。
・考えを順序だてて書くときに使う言葉
1つ目は/2つ目は/はじめに/次に
・話のまとまりを聞くときに気を付ける言葉
~について〇つ話します。/〇つ目は、~です。/このように
・似ているところを整理するときに使う言葉
どちらも〇〇/~ところが似ている
文章を「読み取る」とは、このような言葉の意味や働き、文法事項などを踏まえた上で、論理的構造を正しくつかみ、意味を理解することになる。
「読み取る」力を一朝一夕で身につけることは難しい。
読解力や語彙力を育むベースとなる国語の授業の重要性はより一層増し、適切な指導が求められるだろう。
そこで注目したいのが、子どもたちの読解力を測る診断テスト「リーディングスキルテスト」だ。
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「【国語】 思考力・判断力・表現力は読解力で伸ばす」
第3回は「リーディングスキルテストとその対策」をテーマに、教育の現場で役立つ「読解力を伸ばす指導法」について掘り下げていく。