電子辞書 小学校モデル 佐賀大学連携校 佐賀市立本庄小学校
言葉による見方・考え方を働かせる授業に貢献。

言葉による見方・考え方を働かせる授業に貢献。

佐賀大学連携校 佐賀市立本庄小学校(取材日:2019年3⽉18⽇)

電子辞書で、豊かな語彙を身に付ける。子どもたちの学習意欲も向上。

小学校 国語 電子辞書

佐賀大学連携校 佐賀市立本庄小学校

  • 校長(現:佐賀市教育委員会勤務)

    権藤順子先生

  • 研究主任(現:佐賀市教育委員会勤務)

    森隆久先生

  • 4年3組担任

    平田昌志先生

佐賀市⽴本庄⼩学校は、佐賀⼤学教育学部の教育実習⽣を受け⼊れる連携校と⼀般の公⽴⼩学校という2つの⾯を持ち、独⾃の研究⼤会を⾏う、全国でも珍しい⼩学校です。「⾃ら学び かおれよ 本庄」を校訓に、⾃⼰研鑽し、⾃分の良さや誇りを⼤事にできる⼦どもの育成に取り組んでいます。本校では、国語における語彙の研究授業をはじめ、さまざまな教科でカシオの電⼦辞書 XD-SK2800を活⽤。電⼦辞書が研究の⼀助となり、⼦どもたちの表現⼒が向上したという調査結果が出ています。

言葉同士を繋げて理解を深める
「ことばちず」の作成に電子辞書も有効活用

508名の生徒を擁する佐賀大学連携校 佐賀市立本庄小学校は、1年生からの外国語活動、外国人留学生や帰国子女向けの日本語指導、プログラミング教育など、さまざまな教育活動を実施。また、全教科で研究授業を公開し、より良い教育を追求するとともに、研究知見を惜しみなく教育関係者と共有しています。

本校で国語科の教諭をされている平田昌志先生は、言葉と言葉を繋げて比較し、関連付けて覚える「ことばちず」を用いて、豊かな語彙を身に付ける研究を進めています。

「ことばちず」と、本庄小学校の取り組みについて

言葉と言葉を繋いで、意味・働き・使い方などを整理することで、語彙力を高めるのが「ことばちず」です。本庄小学校では、語彙学習にはもちろん、叙述に基づいて登場人物の気持ちの変化を読み取っていく単元学習でも「ことばちず」を活用。言葉による見方・考え方を働かせる授業を実践しています。また、「ことばちず」で習得した言葉を「みんなに嬉しい言葉を知ってほしい」と総合的な学習でも活用し、校舎の階段部分に貼ったり、算数の時間に言葉を電子辞書で調べたりするなど、教科横断的に活用したり、調べたい言葉をどんな時間にでも調べようとする子どもの姿が見られました。

「まもなく」と「いよいよ」はどう違う? 叙述の中でも意味や使われ方は同じ? 様々な場面で活用します。

「冷たい」と「寒い」等の類語を「ことばちず」を用いて比較し、違いを書き出していくことで、言葉に対する理解を深めます。

特徴的なのは「ことばちず」での語彙学習の際に電子辞書、紙辞書といったツールを子どもたちが状況に応じて自由に使い分け、双方の利点を最大限に活用していることです。平田先生が受け持つ4年3組の子どもたちは、「ことばちず」に取り組んでもうすぐ1年。子どもたちに起きた変化について、権藤順子校長先生にお話を伺いました。

「『ことばちず』を通して学ぶことで、語彙量、言葉の使い方、吟味力などが格段に向上したことが、取り組む前後で書かせた作文により明らかになっています。電子辞書の良い点は、調べたい言葉にすぐたどり着けるところで、『ことばちず』を素早くまとめることに役立っています。また、国語以外の教科についてもすぐ引く習慣が身に付いています。履歴が参照できるので、大事な振り返り学習にも便利です。」(権藤校長先生)

「辞書により調べて得られる獲得語彙と、その語彙を理解し、実際に活用する使用語彙。紙の辞書だとその間に溝があると感じていました。電子辞書を使った授業を見ていると、言葉を理解し使おうとする姿勢が見え、距離が縮まったと思います。ただ調べるだけでなく類義語をすぐに確認できるので、より気持ちに適した言い方が見つかり、頭に残りやすいからではないでしょうか。」(権藤校長先生)

言葉の理解を深めることで、読解力がアップ。
発表の理解にも電子辞書が活躍

では、電子辞書の活用の流れを平田先生の授業を例に見ていきます。まず、学習課題(身に付けるべき力)を確認します。「ごんぎつね」の学習で叙述を基に登場人物の気持ちの変化を捉えていきます。特筆すべきはこの発表の進め方。言いたいことが周りに伝わらなければ、言葉を吟味させたり、聞き手側の子どもに質問をさせたりして真意を引き出します。時には子どもたち全員が発表の意図を汲み取ろうと議論する場面も。教えるのではなく引き出し、つなげ、子どもが気付くような授業を目指しています。

「将来、社会に出て会議をするときに、発表内容が伝わらなければ意味がありません。相手の言っていることをどう受け取るかも重要。言い換えや、質問する力も必要ですし、場面に応じて言葉遣いも変わります。人間力や考え方、つまり資質・能力を、国語を通して育てています。」(平田先生)

言葉の理解を深めることで、登場人物の心情が見えてきます。
「『つぐない』の意味を調べる際に『つぐない』につながる言葉を探しました。すると『埋め合わせ』『補う』『弁償する』などの言葉が集まりました。電子辞書で調べると関連する言葉が一覧で出て来るので様々な辞書の情報を一度に取得できます。つまり多くの関連する言葉にふれることができると言うことです。言葉の理解が深まり、語彙量が増え語彙力が高まります。これが『ことばちず』で実践したいことです。」(平田先生)

言葉と言葉を繋げるときに役立つのが、素早く調べることができる電子辞書です。発表の際の言葉選びや、他の子どもの発表内容を理解する際にも活躍します。

電子辞書を使えば言葉を素早く調べられ、言葉と言葉の違いについて理解を深めることができます

電子辞書なら関連語彙も簡単に参照できます

小鳥の鳴き声を聞いてイメージを膨らませる子どもたち

「もちろん、紙辞書の良さも子どもたちに伝えます。僕たちがどちらを使うようにと指示するのではなく、子どもたちが必要に応じて選ぶ。それが大事です。」(平田先生)

電子辞書が、語彙力を身に付ける手助けに。
学ぶ意欲も向上

ある子どもは「投げ込む」「くりを置いて」の二つの言葉をつなげ、「投げるから置くに行動が変わっているから、心情も変化している。」このように2つの言葉を繋げて考えることで、行動が変化したこと、人物の気持ちが変わったことに気付いています。言葉を比べる際も、辞書で言葉の意味や関連の情報を探す姿がありました。また、グループで話し合うときも話し合いながら必要な時に電子辞書を使う様子が見られました。
「次期学習指導要領では、言葉の意味・働き・使い方に着目することが重要とされています。そこを捉えながら身に付けるべき資質・能力を身に付けさせたいなと考えました。」と平田先生。優れた検索性を持つ電子辞書が、子どもたちの想いにぴったりな言葉を探す手助けをしていました。

言葉をつなげて人物の気持ちの変化を読み取ります

電子辞書を活用する子どもたち

言葉を効率的に調べられるだけでなく、子どもたちの学ぶ意欲も向上しました。「最初は学校内で使用していましたが、一ヶ月もしないうちに家でも使いたいという声が子どもたちから上がりました。学ぶ本人としては一番良い言葉ですよね。」(平田先生)

「怖い」を言い換えて、怖さレベルでランキングを書いてきたり、電子辞書で調べた新しい言葉を書いてきたりと、自主学習にも変化が。お祖母さんに自分の電子辞書を買ってもらった子どももいるとのことです。

子どもたちの自学ノート。「言葉の量が増え、自学のレベルが高くなってきた」と平田先生

なお、教育現場においてはタブレットなどICT機器の普及が進んでいますが、これについては「タブレットは情報が多すぎて余計なところを見てしまうので、むしろ時間のロスです。」と言い切ります。「適切な情報が得られるのは電子辞書の強み。ゲーム機感覚で使えますし、今の時代に合っています。子供たちの学習のための教材として、本当に優れていると思います。」(平田先生)

授業における電子辞書の意義を高く評価する平田先生ですが、まだまだ活用を広げられると話します。例えば、学校外での電子辞書のさらなる活用。低学年と高学年が使ったときの活用の違いにも関心があるそうです。

「授業はもちろん、休み時間、空いている時間を含め、もっと効果的な活用法がないか、僕たちも研究をしながら考えていきたいです。電子辞書は単に言葉を調べるだけという固定観念が邪魔をして、多岐にわたる機能があると気づいていない人が多い。使ってみれば『なるほど、そういうことか』とわかるはず。ぜひ使ってみてください。」(平田先生)

「ことばちず」と、それをサポートする電子辞書、紙辞書の活用で、子どもたちの語彙力・表現力は飛躍的に向上しました。平田先生によるさらなる効果的な電子辞書活用にも、大きな期待が寄せられています。