活用事例のご紹介 様々な音色で表現の幅が広がる。
生徒が楽しく取り組める創作授業。
都内中学校様
様々な音色で表現の幅が広がる。
生徒が楽しく取り組める創作授業。
取材させていただいた中学校では、2020年4月よりカシオのミニキーボードSA-46を35台導入し、一人一台体制で活用しています。コロナ禍で音楽の授業のあり方が急激に変化した中で、授業において重要な役割を果たす楽器として日々活躍。詳しくお話を伺いました。
新しい授業を実現するためにミニキーボードを導入
カシオのミニキーボードSA-46の導入を提案したのは、1年生の担任 兼 音楽科教諭の先生。以前から器楽指導の際、ある課題を感じていたと言います。
「鍵盤楽器は、鍵盤の位置が音の高低を示すため、子どもにも演奏しやすいのが特長です。一方、リコーダーは運指が難しいのに加え、押さえている指を自分の目で確認しにくく、音の高低の感覚が掴みにくい。リコーダーが苦手な子は実は多いんです。そこで、常日頃授業に鍵盤楽器を取り入れたいと考えていました。」
今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、息を吹き込んで音を出すリコーダーの使用が制限されていることもあり、鍵盤楽器の活用を本格的に検討。コンパクトで扱いやすく、音色も豊富なSA-46をクラス全員で演奏できるよう、35台を今年の4月に導入。来年度はクラス編成の関係で1クラスあたりの人数が増えるため、追加で5台の導入を考えているとのことです。
音色もフレーズも自由に表現。
創作の楽しさを一人ひとりに
ミニキーボードを活用した音楽の授業を取材しました。この日は創作の授業で、「音の繋がり方を工夫して旋律を作ろう」がねらい。ミニキーボードは音楽室の机の中にしまわれており、早めに来た生徒が早速取り出して音を出しはじめます。先生は生徒の弾きたい意欲を抑え込むことなく、授業が始まるまでの間、自由に使わせてあげます。
全員が集まり、授業がスタート。まずは、中学生に大人気のアニメ主題歌の演奏でウォーミングアップ。メロディと伴奏の2つのパートに分かれ、ミニキーボードを使って全員で演奏します。メロディパートの生徒は、自分の好きな音色を選んで演奏。伴奏パートの生徒はベース系の音色で演奏します。先生は、SA-46に搭載されたドラムパッドで、小気味良いドラムを叩きます。SA-46には鍵盤で弾ける100種類の音色や、叩いて打楽器音を鳴らせるドラムパッドが搭載されているので、使い分けることでさまざまなパートをカバーできます。
演奏が終わると、今日の課題1~8が書かれたプリントを子どもたちに配布します。
<1>シ~ソまでの音を記入しよう。
線譜に、あらかじめ低い「シ」と高い「ソ」が四分音符で印刷されています。間にある残りの音を五線譜上に記入していきます。
最初はどうしたらいいかわからない様子の生徒もいましたが、ミニキーボードの鍵盤に貼ってある、音名と五線が書かれたシールを手掛かりに音符を書き込んでいきます。「今日はここにあるシからソまでを使う予定です。みんな書けるようになってね」と先生。シールは先生が準備して一台ずつ貼ったとのことで、生徒たちが演奏に早く親しめるようにと工夫が感じられます。
<2>ドとソを中心に即興演奏をしよう。
先生が「ド」「ソ」の2音だけを使い、即興で1小節分の旋律を作ってミニキーボードで弾き、続けて生徒たちが先生の弾いた旋律を弾きます。1小節ごとに、先生と生徒たちが交互に弾いていきます。
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印象的だったのは、生徒たちがそれぞれ好きな音色で弾いていることです。「たくさんの音色があるので、選ぶ楽しさがあります」と先生。生徒が自分で考えて音色を選ぶことで、より自分らしい表現で楽しく演奏できます。
次は、今作った旋律をもとにしつつも、使う音のオクターブを変えても良いという条件で、生徒が旋律を変化させて演奏します。高さの違う音を使うことにより旋律に深みが増すことを実感できます。さらに、シ、ラと、使う音もどんどん追加して、生徒が一人ずつ弾いていきます。音が増えるごとに音楽性が高くなり、美しい旋律が生まれたときには「わーっ」と歓声があがります。ソ・ラ・シ・ドの4つの音は鍵盤上で並んでいます。鍵盤楽器を用いることで、隣の音なら楽に弾け、旋律は滑らかになることが、目と耳でわかります。
<3>ドミソ、ソシレの音だけで旋律をつくってみよう
2分音符が8個(4小節分)あり、一つひとつの音符にはあらかじめ「ド・ミ・ソ」か「ソ・シ・レ」のグループのどちらかが割り当てられています。グループの中から音を一つずつ選んでマスに書き込み、旋律を作ります。
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2分間、子どもたちはミニキーボードで確かめながら音を選んで旋律を創作。その後、好きな音色を選んで一人ずつ順番に演奏していきます。あらかじめ割り当てられた「ド・ミ・ソ」か「ソ・シ・レ」の中から音を選んでつなげていくだけですが、一人ひとり全く違う個性豊かな旋律が演奏されます。
ここで、先生が「跳躍進行」「順次進行」について説明。実際に旋律を作って演奏した後に理論を説明することで、実感を伴った理解につなげます。
「鍵盤を見れば音の高低や離れ具合がわかるので、跳躍進行・順次進行などについて、とても教えやすいですね。リコーダーだとこうはいきません。」
<4>作った旋律の5か所の音を、マスに書いてある音以外に変えてみよう
「ド・ミ・ソ」「ソ・シ・レ」の構成音以外の音を入れることによって、格段に変化が付きます。先程説明した「順次進行」の流れも入れられるので、うまく音をつなげれば、スムーズで美しい旋律を作ることができます。しかも、16音のうち5音以外は「ド・ミ・ソ」「ソ・シ・レ」の構成音なので、若干外した音を選んだ生徒でも、音楽性が大きく崩れることはありません。
ミニキーボードを弾いて音を確かめながら、みんな楽しそうに熱中して、思い思いの旋律を作っています。あちこちから「わかったわかった」「きたきた」などの声があがります。
作り終わったら伴奏に合わせて順番に披露。旋律を作ることも、友達が作った旋律を聞くことも、心から楽しんでいる様子がうかがえます。
この日の授業では課題の4までを終え、先生の「今日はここまで」の声に「えーっ、もう終わりなの?」と残念がる声も聞こえます。楽しく、熱中する時間はあっという間に過ぎたようです。
子どもの興味を引き出し、授業の幅も広がる
ミニキーボードを授業で活用する利点について、先生に話を伺いました。
「やはり、子どもたちにとって親しみがあり、演奏しやすいのが鍵盤楽器。中でもこのSA-46は操作も簡単で音色も豊富なので子どもの興味をより引き出してくれます。今日もそうでしたが、子どもたちは音楽室に来るとまずミニキーボードで遊び出します。机の物入れにおさまるくらいコンパクトなところもいいですね。」
日頃から慣れ親しんでいるおかげで、子どもたちは即興演奏にも抵抗感がないそう。ミニキーボードを導入してから「楽器に対する怖さがなくなった」と言います。
「最初難しいと思っていたけれど、弾いてみると意外と簡単にできたという子も。鍵盤楽器が弾けて嬉しいとみんな言っています。」
また、ドラムパッドも活用されているそうです。
「授業の始めに弾いた練習曲は2パートで構成しましたが、メロディが弾けない子にはドラムパッドでリズムを担当してもらうなど、一人ひとりのスキルに合わせたパート分けが可能。誰一人取り残すことのない、学習環境を実現できます。」
「『ゆかいな牧場』をテーマに、どのような牧場なのかをドラムパッドのリズムで表現したことも。子どもたちからも楽しかったと大好評。旋律だけでなく、リズムも学べます。」
32鍵を搭載し、リコーダーと比べて音域が広い点にも着目。楽曲の選定や表現の自由度が高まり、授業の幅が広がります。「これはできるだろうか、と考えてしまうことでもミニキーボードなら簡単に実行できます。
コロナ禍で楽器の使用が制限されている中、飛沫も出ず、いくつもの役割をカバーできるミニキーボードの活用機会は多いです。むしろこの楽器で何ができるかを考えながら授業を組み立てているほど。」と先生は話します。
また、鍵盤楽器は片手だけでも弾けるので、もう片方の手で思いついたフレーズをすばやく記録できるといった利点も。質の高い授業をスムーズに進められ、子どもの上達も早くなっていると高く評価してくださいました。
タブレットとの役割の違いは明確。
使い分けて質の高い音楽活動を目指す
今後、音楽制作ソフトをインストールしたタブレットが支給される計画もあるそうですが、「そういったツールを活用するのはベースとなる知識や技能を押さえてから。作曲の根本的な部分を学ぶには、物理的な鍵盤があってシンプルなミニキーボードの方が適しています」と先生は言います。
その活躍ぶりが周囲に伝わり、近隣の学校からも注目されているというカシオのミニキーボード。これからも、より多くの子どもたちに、演奏する楽しさを。さらなる活用が期待されています。
記事制作協力:株式会社アドワークス